映画「対峙」という俳優の対峙!4人芝居が唸らせる脅威の111分!


こんにちは、イラストレーター・絵描きをしている、ひころーるです。
イラストレーターに関しては、勝手に「ひころーる」と名乗ることにしてみました。

私は一児のパパということで、
娘が2〜3歳にかけての頃、娘をモデルに365日毎日クロッキーをし続けた経緯があります。
そんな1年があり、自分の対象の捉え方は確実に変化したし、大きな財産になっています。

知ってる人は知っていると思いますが、私は仕事柄・・・映画やドラマが大好きです。
しかも海外作品が大好きで、このブログでも随分と紹介していきています。

簡単なイラストと映画紹介のブレンドです。

そのジャンルはたくさんのイラストレーターが既に築いてきた山が既にあるのですが、ひころーるとしてもやはり継続していきたい内容だなと思っていますので、引き続きイラストと合わせて映画やドラマも紹介したいと思っています。

今回は映画「対峙」です。
ご存知でしょうか?

銃乱射事件で息子を殺された両親と、その命を奪った加害者の両親との対話劇。
加害者本人は、事件当日に自殺。

その事件から6年後、4人が教会の部屋で文字通り「対峙」するという映画。
この設定だけ聞いても、とても踏み込めない領域を俳優が踏み込む覚悟だと感じられます。

感想をシンプルに言いますと、4人の俳優がとても役として素晴らしいガチの交流をしていました。
生きていました、もうそれだけで必見の映画です。

参考までに、「愛してると言っておくね」「エレファント」を挙げておきます。
※私が以前書いた記事「愛してると言っておくね」もご参考ください。

映画「対峙」という俳優の対峙!評価と感想

演劇のような密室劇。
非常に興味深く、浅はかであってはならない。
アメリカ合衆国でさんざん起きているこの高校生銃乱射事件をどう捉えるのか?
今のところノンフィクションであるとは記載がないので、フィクションとして描いているのか。

だからこそ、安心して深く踏み込めるのかもしれません。

その教会の奥の部屋となる舞台へ入る前からシーンは始まりますが、金網に括り付けられた布が風にたなびく映像が印象的に最初と最後に映し出されます。

それは過去への固執、執着なのでしょうか?
解釈は観たものの自由。

私自身まとめることはできませんが、以下感じた感想です。

見えていない相手が、だんだんと見えてくるようになる。
それはお互いに。
色眼鏡でお互い向き合うことなく、ニュースなどの情報で見てきた加害者、被害者。
偏見や色眼鏡、欲しかった言葉、言わせたかった言葉が交差する。
お互いの目的がぐちゃぐちゃと辛くも厳しくも、眼が離せない映画!

私も現在親となって・・・身悶える時間でした。
苦しかった。
でも、出口が見えた、その少しの安堵感。
それが欲しかった、少しの安堵感。
良かった、その安堵感。
それが、感想です。

映画「対峙」のあらすじ

アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が勃発。多くの同級生が殺され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。それから6年、いまだ息子の死を受け入れられないジェイとゲイルの夫妻は、事件の背景にどういう真実があったのか、何か予兆があったのではないかという思いを募らせていた。夫妻は、セラピストの勧めで、加害者の両親と会って話をする機会を得る。場所は教会の奥の小さな個室、立会人は無し。「お元気ですか?」と、古い知り合い同士のような挨拶をぎこちなく交わす4人。そして遂に、ゲイルの「息子さんについて何もかも話してください」という言葉を合図に、誰も結末が予測できない対話が幕を開ける──。

Amazon prime参考(2024年10月時)

映画「対峙」という4人の俳優の対峙!感想

主演は4人です。
4人とも素晴らしいのです。

舞台のような4人芝居を覗いて観ているような感覚でした。
長回しのような感覚ですね。

被害者の母親役マーサ・プリンプトン

最初から気になったのは、被害者の母親役マーサ・プリンプトン
健在でした。
映画「グーニーズ」のメガネお姉さん、映画「旅立ちの時」のリバー・フェニックスの相手役。
そんな青春のお姉さんだった彼女ですが、30年ぶりくらいに観ました。
まだ俳優として素晴らしく、しかも真に迫る演技に、感動した。

得に、泥だらけの息子の話。(※ネタバレなし)

加害者の母親役アン・ダウド

アン・ダウドの味わい。
なんというか、最初から、なんだか居そうな母親なんです。
息子に逆らえなくなったような、腰の弱さがある、そして役として幸が薄そうなというか疲弊してきた様子。
しっかりと背負っているんです。
夫に向ける目線。
理解のすれ違い。
自分も被害者であると同時に加害者であることの辛さ。
滲み出すぎていて、そこに居ました。

加害者の父親役リード・バーニー

リード・バーニーは、ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」などに出演する名脇役。
硬い男の姿がそこにありました。
奥さんとの目のやりとり。
ちょっとした心の機微、硬い人間として感じられるのに、しっかりと滲み出てくるところが凄い。

被害者の父親役ジェイソン・アイザックス

ジェイソン・アイザックスの役は、妻との内なる関係が肝。
冷静でいたいが、妻を制しながら感情的になっていく姿、ぐっと迫ってきました。
そして妻との考え方の違いからの胸のうち。
いろいろと滲み出てきていました。
柔らかい。
夫婦としても素晴らしい交流でした。

映画「対峙」の監督マーサ・プリンプトンの対峙!感想

監督はフラン・クランツ
もともと俳優出身にして初監督作品とのこと。

俳優出身だからこそ、舞台のような俳優がしっかりと対峙する映画を撮影できたのだと思いました。
俳優が見たい、のです。
演技が見たい、のです。
私はそこが見たいんだ!と言わんばかりの設定。

だからこそ、この設定や対峙軸が丁寧に且つ熱を持って撮影されたのではないでしょうか。
リハーサル、ドキドキだっただろうな、と想像に難くありません。

カメラ主軸ではなく、俳優主軸の映画を撮ってくれました。
といった気持ちになれました。

映画「対峙」という俳優の対峙!-まとめ-

対峙 イラスト

加害者の親は、悪魔を育てたバカな親である。
加害者の親は、悪である。
加害者の親は、とんでもない人間であり、何かが欠けている。

そう思いたいし、そうでないと救われない被害者の気持ち。
息子が死んだ理由を知りたい。
動けない息子にとどめをサスほどの無慈悲な加害者を育てた親の無慈悲さを確認したい。

どこを取っても被害者が・・・というより人間としての生理の流れのように感じます。

子育ては簡単ではない。
やがて興味を持つものや、趣味は人それぞれ。
人付き合いが得意な子どもとそうでない子ども。
世渡りが上手な子ども、そうでない子どもとさまざま。

親になれば分かるがそんな個性を親がコントロールできるものではないのに、親だったらできただろと思ってしまう不条理。

それら全てに親がコントロールできるものでもなく、子どもはひとり渡り歩いていく。
親だって子どもの気持ちが分からない。
そこに辿り着く。

「自分を殺しなさいよ」と怖くて言えなかった加害者の母親の弱さ。
しかし、それを伝えた強さ。
計り知れない。

二項対立が溢れる世界の中で、二項対立を煽るのはニュースやマスコミやSNS。
実際は人間同士が対話して向き合うことでしか分からないことを伝えてくれた素晴らしい作品だと思いました。

About ひころーる

イラストレーター ひころーる 2011年に「めぐりのおと」の絵本を描いてから 個展を5回開催し、どれも好評を得て 調子に乗って、受注販売をしたり イラストレーターのお仕事をいただいたり 非常に恵まれてきた環境です。 美大も美術系専門学校もでていない私が イラストや絵を描き続けられる環境にあることに 感謝しながら、コロコロと状況を お伝えしていきたいと思います。 ※活動が多岐に渡って経験を備えてきました。 それぞれ専門のブログやウェブサイトがありますので、 こちらはイラストレーターに寄せたものにしていきます。