「みみをすますように」酒井駒子展 横須賀美術館の4つの見どころ!


絵本作家・画家の酒井駒子さんの個展、「みみをすますように」酒井駒子展へ行ってきました。

感想をさくっと言い表すと
「うわ~~!もう素敵過ぎてヤバイ!」
となってしまいます。そうなんです、余分な表現を置いてぶっちゃけるとこんな感想になっちゃうくらい素敵でした。
今回の個展は、酒井駒子さんの初の本格的個展となるそうです。そのことにも驚きを禁じ得ないですが、一気にまとめて拝見できる機会は本当に貴重ということですね。この個展は酒井駒子さんが担当された絵本の挿絵や、著書の絵本(文・絵)など約20冊を中心に、約250点の原画が展示されています。展示内の構成は、「ひみつ」「はらっぱ」「くらやみ」「こども」と空間を隔てて、それぞれ面白い展示工夫がされているのです。もうそれだけで見どころ。

絵本作家・画家の酒井駒子さんとは?

『金曜日の砂糖ちゃん』

Profile
酒井駒子Komako Sakai
1966年兵庫県生まれ、東京藝術大学美術学部油絵科卒業。テキスタイルデザインの仕事を経て、1998年『リコちゃんのおうち』(偕成社)で絵本作家デビュー。『きつねのかみさま』(あまんきみこ/作 ポプラ社)で日本絵本賞、『くまとやまねこ』(湯本香樹実/文 河出書房新社)で講談社出版文化賞絵本賞、第1回MOE絵本屋さん大賞第1位受賞など国内外での受賞多数。MOEから生まれた絵本に『よるくま クリスマスのまえのよる』 『ロンパーちゃんとふうせん』 『BとIとRとD』(白泉社)などがある。

『金曜日の砂糖ちゃん』(偕成社)は2005年のブラチスラバ世界絵本原画展で金牌を受賞、『ぼく おかあさんのこと…』(文溪堂)で2006年にフランスのPITCHOU賞、オランダの銀の石筆賞を受賞。2009年には『ゆきがやんだら』(学研プラス)でオランダの銀の石筆賞を受賞、また同書はニューヨーク・タイムズの「Best Illustrated Children’s Books of 2009」の1冊にも選出。

月間MOE WEB

「みみをすますように」酒井駒子展の詳細

絵本「ゆきがやんだら」
絵本「ゆきがやんだら」

2021年7月10日(土)~9月5日(日) 
横須賀美術館
住所:神奈川県横須賀市鴨居4-1
TEL. 046-845-1211
開館時間/10時〜18時
※新型コロナウイルスの感染拡大状況により、展覧会やイベント等の予定が変更となる場合があります。
ご来館前に最新情報をこちらでご確認ください。
入場料/一般 1100(880)円 、高大生・65歳以上 900(720)円、中学生以下無料
*()内は20名以上の団体料金
*高校生(市内在住または在学に限る)は無料
*身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方と付添1名様は無料

横須賀美術館HP
PLAY! MUSEUM(東京・立川)風景
緊急事態宣言があり、長期閉館を余儀なくされたため、再度東京の立川に戻って展示されるそうです

横須賀美術館が素晴らしい立地と空間

横須賀美術館
横須賀美術館

展示場所は、横須賀美術館。
今回初めて行った美術館でしたが、ガラス壁の外観と目の前が海。その海が一面に広がる素晴らしい立地の美術館でした。館内も美しく、空間も広く、そして螺旋階段や図書室、屋上、展望、散歩道などなど立地空間全体が調和していて素晴らしい美術館。猛暑の時期でなく、もっと時間があれば丸一日、散歩と合わせて楽しみたいところ。

美術館のテラス部分がレストランになっていますが、コース料理でなかなかのお値段でしたが、そこでゆっくりするのも素敵ですね。また、春や秋は原っぱでお弁当持参で美術館に遊びに行くのも良さそうです。

ただし、1点デメリットをあげるとすれば、車がないとなかなか行きにくい場所だというところでしょうか。横須賀駅や浦賀駅からバスが出てるそうですので、車でない場合は電車とバスの旅となります。詳細はHPの利用・交通案内をご確認下さい。ちなみに、緊急事態宣言中でしたが、特に人数制限はなかったです。また混雑もありませんでした。(2021/8/7現在)。

横須賀美術館の屋上
まな娘もテンションが上がっている。恋人の聖地でね(笑)
横須賀美術館の屋上
まな娘もテンションが上がっている。恋人の聖地でね(笑)
横須賀美術館の屋上
散歩できる道がありますよ。
涼しい季節は散歩したいですね。
横須賀美術館の屋上
散歩できる道がありますよ。
涼しい季節は散歩したいですね。

みどころ① 酒井駒子さんの作品世界の展示の構成について

絵本「まばたき」の原画展示空間
絵本「まばたき」の原画展示空間

展示内の構成は、「ひみつ」「はらっぱ」「くらやみ」「こども」と展開していくのですが、最初の「ひみつ」の空間は撮影OKというサービス。どの原画も画像に収めたくなるのです。自分のモノにしたい衝動にかられて、ついついパシャリ。特に下地を黒で塗った紙の上に描かれた作品群の持つ空気感がとても素敵です。
「はらっぱ」の展示は、森の中を散歩するように、というテーマに沿ってちょっとした仕掛けがありました。「くらやみ」では、よるくまの原画群。「こども」の展示は、童話の世界をしっかりと堪能できます。

みどころ② 木箱、木の額、とてもマッチした展示方法

絵本は大判サイズのものを観ていたので、原画はそれ以上の大きさの作品を想像していました。ところが、私が想像していたよりずっと作品のサイズは小さかったのです。どの作品も思っていたものよりずっと小さい作品群。最低でもA4サイズくらいはあるのかと思っていたのですが、予想を超えたサイズでした。そして、その小さな中に詰め込まれた世界に逆に感動させられるのです。
展覧会に行って油絵など絵画の大きな作品たちの力、或いはゴージャスな額と合わせて大きさで圧倒されることってあるんです。しかし、今回は逆で小さいサイズで圧倒された次第です。というのも画力の他にひと工夫あったからかも知れません。上記と下記の画像にあるように木のにおいのするシンプルで且つアイデアのある額装が小さくとも作品を際立たせていました。その展示方法ですが、これがほんと凄いアイデア。ご覧の通りなんです。下記の画像のように、木の四角錐の箱のてっぺんに原画、なんてとてもおつじゃないでしょうか。個展を観に行って、絵を上から見下ろすなんて、なかなかないですよね。

みどころ③ 段ボールの上に描いた作品たち、コラージュ

この小さな段ボールの中に存在している作品たち。段ボールの上に描かれたこれらの作品は、ちゃんと保存しないと心配になってしまう原画です。なぜなら段ボールは湿気を吸いやすいので長期保存に適していないからです。そして何よりも小さいサイズの心もとなさ・・・。
それが相まってとてつもなく優しい気持ちになったり、手ですくってあげたいような気持になるのです。それって私だけかな??これは「BとIとRとD」という絵本の原画たちなのですが、一部分マスキングや切り抜きなど貼ったりしたコラージュになっています。そのような童心というか挑戦というか、面白いですよね。

この中、最高ですよ。チラシの作品でもありましたが「BとIとRとD」の原画たちがいます。
コラージュ作品なんです。
この中、最高ですよ。チラシの作品でもありましたが「BとIとRとD」の原画たちがいます。
コラージュ作品なんです。
「BとIとRとD」の原画
BとIとRとD」の原画

みどころ④ 作品を追いかけてゆく

絵本一冊まるまるっと展示が一部あります。それを追いかけていくように体験する楽しさがあります。また知らなかった作品にも出会えるかもしれません。素晴らしい体験になります。また、いくつかの新しい作品との出会いに感謝せざるをえません。と言いますのは、絵本だけでも20冊以上関わっているのですから、全部を網羅するのはとても難しいところ!かくゆう私も初めて観た世界がありました。そんな素敵な出会いに感謝。

絵本「くまとやまねこ」より
この原画、本当に本当に小さいよ~!
絵本「くまとやまねこ」より
この原画、本当に本当に小さいよ~!

おススメ・気になった絵本をちょっとリンク(Amazonより)

おねえさんといもうと

赤い蝋燭と人魚

くさはら

巡回展なので、次回は再東京(立川)、そして長野

〇2021年9月18日(土)~11月14日(日)「もういちど『みみをすますように 酒井駒子』展」として PLAY! MUSEUM(東京・立川)で再度開催されます。
〇2021年12月11日(土)~2022年1月30日(日)長島美術館(鹿児島)に巡回予定です。

図録、画集として素晴らしい分量です

これほど酒井駒子さんの作品が好きなのに、実は最近まで一冊も絵本を保有していなかったのです。本屋や古本屋で何度も購入を迷った作品もあります。しかし、その都度、全部欲しくなってしまうので購入すると危険!だったのです(笑)絵本を手にするたびに「買うのか買わないのか」と危険信号が脳裏にチカチカと点灯していました。
そして、実は絵本の内容すべてを包括的に好きというよりも(それも好きですが)、酒井駒子さんの「絵そのものが好きなんだ」と気がつきました。欲しかったのは画集なのです。一枚の絵が語る強さを酒井駒子さんの作品には感じます。背景を黒塗りした後の絵は、どこか物静かで「動」ではなく「静」であり「囁き」でもあるのです。それら作品群をまとめて、ゆっくり珈琲片手に見続けたかったのです。こんな気持ち分かりますか?(笑)

「みみをすますように 酒井駒子」画集・図録
「みみをすますように 酒井駒子」画集・図録

この展示に先立って、書店で「みみをすますように 酒井駒子」という画集が販売されていました。そういうわけでようやく念願の画集を購入した次第です。そして、これが今回の展示の図録でもあることを知ったのはその後でした。B5サイズの厚めの辞書、といったサイズ感で定価4,000円(税抜)。画集(図録)のずっしりした重さが作品の重さ、改めて販売に感謝。

まとめ

今、これまでよりももっともっと酒井駒子作品が好きになっています。まず第一に、子どものしぐさ、一瞬のポーズ、その愛らしさを見事に形にしていることが素晴らしい。そして、アクリルの画材ですが、描くのは画用紙ばかりではなく様々な素材(段ボールや厚紙)への挑戦というかチョイスに素直に驚かされます。

私も、子どもができてますます「子どもの愛らしさ」に心を貫かれている日々。それを体現された作品に心をかなり持っていかれるようになりました。今現在、子どもの絵を描く自分と重ねてみて、酒井駒子作品に気持ちを重ねてしまう部分があります。そして、アーティストとして尊敬してやみません。個人的にも、いい刺激をいただきました。これから、私もまた新たな挑戦ができそうです。

PS.今回、横須賀美術館に行くにあたり、快く旅行として連れてってくれた義父母、一緒に行ってくれた妻と子に感謝。絵を観ること以上に、楽しい経験になりました。娘も美術館でおおはしゃぎ(絵そっちのけですけどね)

山縣有斗作品 箱入り娘
最後は私の作品で恐縮です💦
山縣有斗作品 箱入り娘



子どもが好きな方、絵が好きな方、物語が好きな方、ぜひ美術館で原画に触れてみてはいかがでしょうか?素敵な展示方法です。おススメします。

About ひころーる

イラストレーター ひころーる 2011年に「めぐりのおと」の絵本を描いてから 個展を5回開催し、どれも好評を得て 調子に乗って、受注販売をしたり イラストレーターのお仕事をいただいたり 非常に恵まれてきた環境です。 美大も美術系専門学校もでていない私が イラストや絵を描き続けられる環境にあることに 感謝しながら、コロコロと状況を お伝えしていきたいと思います。 ※活動が多岐に渡って経験を備えてきました。 それぞれ専門のブログやウェブサイトがありますので、 こちらはイラストレーターに寄せたものにしていきます。