Netflixドラマ「クリックベイト」は今の時代に刺さる面白いおススメドラマ!


Netflixドラマ「クリック・ベイト」
Netflixドラマ「クリック・ベイト」」

このNetflixドラマ「クリック・ベイト」は、最近観たドラマの中で個人的にヒットしたクライムミステリー。オーストラリアとアメリカの合作ドラマで、実に興味深く面白い作品でした。
個人的に、子どもを抱える親として、兄弟を持つ個人として、様々な感情移入がありました。そして、「クリックベイト」の中で巻き起こる事件は、SNSが過剰に進化している今そこにある危機を映し出しているのかも知れません。はっとするのは、殺人事件でさえもSNSで拡散されていけばいくほど、リアリティから離れてある種のゲームのような感覚を一部の人に感じさせてしまう可能性があるということ。面白がって過度に煽る心理、とでもいうのでしょうか、都市伝説を怖がり肝試しをするように殺人事件でさえも面白がる一部の人々の姿が映し出されます。特に第一話の疾走感、かなりやばい。気になってしょうがない流れになっています。どんどんバズっていく動画に、今の時代を感じて怖くもなる一方、もう目が離せないドラマとなってしまうこと間違いなし。

タイトルの「クリックベイト」とは何?

《baitは餌の意》ウェブ上の記事に扇情的なタイトルをつけ、ユーザーの興味を引いて閲覧者数を増やす手法。 記事の内容と無関係な場合も多く、ソーシャルメディアなどで対策が進められている。

Wikipedia参照

あらすじ

Netflixドラマ「クリックベイト」予告編

ある日突然、謎の失踪を遂げたニック。その後、彼の姿はインターネットに出回ったビデオで発見され、ひどく暴行を受けたニックは「私は女を虐待してる。視聴回数500万で死ぬ」と書かれたカードを掲げていた。妹と妻がニックを探し助け出そうと急ぐ中、想像もしなかった彼の一面が明らかになっていく――。

ドラマナビ参照

「クリックベイト」は全8話完結のミニドラマシリーズ

ニックの二面性を感じさせる画像
ニックの二面性を感じさせる画像

各エピソードは1話ごとに、人物の名前がタイトルになっている。つまり、それぞれの視点から物語が進行していくということ。意外とこの8話くらいってちょうど良くて見やすいです。
ちなみに、各エピソードタイトルはこちら。

第1話「妹」/第2話「刑事」/第3話「妻」/第4話「愛人」/第5話「記者」/第6話「兄」/第7話「息子」/第8話「答え」

エピソードのタイトル通りの役の目線が面白い

刑事のロシャン・アミリ 第2話
刑事のロシャン・アミリ 第2話

秀逸な脚本のミスリードにやられていく。各エピソードのタイトルがそのミスリードを生かしていて、犯人に近づきながら違う道に視聴者は連れていかれてしまうのです。しかし、ラストには、そう言えば「ちょっと違和感」な動きがあったことを思い出させてくれる犯人。ちゃんと観ていれば、なんとなく頷ける結末となっています。全8話という数が、いい塩梅に「それはないわ」とさせない距離感をもって犯人に迫ってくれました。

個人的に第4話からの転換期がたまらない

ニックと妻のソフィー
ニックと妻のソフィー

1話の疾走感から二転し、2話の「刑事」はややまったりと時間が過ぎていきます。そして3話「妻」でこれまでを変化させる意外な視点になっていき・・・4話「愛人」で転換します。そう、ドラマで最初から気になっていたちょっとひと癖あるキャストにスポットが当たっていくあたりがドラマの転換期。特に4話からずっと気になっていた謎の女性が登場。とっても曲者なのです。ある種の黒澤明監督の「羅生門」的なそれぞれの視点で印象がザクザクと変化していく面白さ、見せていきます。5話「記者」6話「兄」のラインは圧巻。

演出として気になったシーン(ネタバレ注意)

第8話のドーンのベッドシーン。ドーンは、夫が寝ているベッドの右側から入ったのに(画面から見て左側)、次のカットでは夫の左側にいるシーンがあります。最初は「あれ?編集ミス?繋ぎを間違ったのか?」と思ったほどですが、それはドーンの「妄想」の演出だったのです。現実と妄想の継ぎめないカット割に一瞬戸惑いますが、よくよく見ると「なーるほど」。急なドーンの位置移動に一瞬驚きますがこの演出に「いい気持ち悪さ」をちゃんと受け取れるようになっています。こういうのは個人的に好きな演出。

演技の見どころ

このドラマも最近の例にならって人種の多様性が存分に出ています。それが単純な二枚目、カッコよさ、美人、可愛い、などのお飾りを排除している為、いいリアリティが生まれいます。各俳優の個性を感じさせてくれるのです。特にキャスティングとしてはアジア系が2人、大切な役どころにいることもまた時代ですよね。

アジア系俳優の台頭

ベン・パーク役のアブラハム・リム

報道で特ダネを狙う男にアジア人がキャスティング。ベン・パーク役のアブラハム・リム。ゲイのパートナーと同居していて、国籍は違えどとてもしっくりと感じさせてくれるコンビでした。また、息子がやり取りしていた相手がまたアジア系の女優であったことが、今の時代を感じさせてくれる。もちろん両方とも、いい味わいを出していました。特にベン役は抑えた演技の中にしっかりと生意気な野心的なエネルギーを放出してきます。

ピア・ブルーワー役のゾーイ・カザン

ピア・ブルーワー役のゾーイ・カザン
ピア・ブルーワー役のゾーイ・カザン

ニックの妹役。素晴らしい繊細なアクティング。ナオミ・ワッツのような繊細な心が滲み出るアクティング(演技)。いつだって本気で相手と話していてウソがないんです。気持ちを我慢すればするほど表出してくるところなんて、本当に最高です。目が大きいですが、文字通り目にしっかりと溢れ出てきます。

ソフィー・ブルーワー役のベティ・ガブリエル

ソフィー・ブルーワー役のベティ・ガブリエル
ソフィー・ブルーワー役のベティ・ガブリエル

ニックの妻役。この女優さんもまたこんなに表現豊かだとは思っていませんでした。前に観たのは映画「ゲット・アウト」の召使役です。あれは怖かった・・・。

サイモン・バートン役のダニエル・ヘンシュオール

サイモン・バートン役のダニエル・ヘンシュオール
サイモン・バートン役のダニエル・ヘンシュオール

ここも触れるとネタバレが起こり得るのでちょっと役としてのご紹介しずらいのですが、いい役なんです。誰かのお兄さん役、とだけ記しておきます。このお兄さんの背中、姿勢、仕事、ルックスと合わさって人間臭くてたまらない。役をとても体現されていて、大切なところでホントに余分なモノがないっていう演技。ぐっときました。

エマ役について (ネタバレ注意)

エマ

物語を新鮮に楽しみたい方は以下のエマ役についてのコメントは飛ばして下さい。

SNSや出会い系サイトで知り合った関係の中で、心が通じ合ったと、愛し愛されたと感じられた相手がいたとき。もしも、実際に会ったことのない相手と「愛している」という愛の囁きのやり取りをしている関係があったとしたら、あなたは次の質問にちゃんと答えれるでしょうか?
「その人と会ったことあるの?」
この質問に素直に「NO」と言えるでしょうか。きっとあなたの友人や家族は「その人のこと分かっているの?会ったことないでしょ?」と呆れられ、愛し合ってるなどと言えば笑って一掃されるに違いありません。
だからこそ、「会ったことあるの?」と聞かれて「あったことない」と言いたくない心理が生まれるのです。会ったことがなくとも、通じ合えていること、本物の愛だと感じたことに疑いをかけられたくない心理。そして発展する妄想体験。妄想があたかも体験したかのような感覚に陥ることが起こり得ます。このドラマ内には、この感覚を使ってしっかりとミスリードされてしまう脚本と演技と演出がありました。

さてさて、これって遡る事20年くらい前の日本ドラマにもあったのです。日本ドラマの名作「北の国から2002遺言」で、大介が会った事もないメル友をずっと待っているような、あの感覚。これって分かる人は分かるかと。。。

ちょっと注目な俳優 スティーブ・マウザキス

左:ロシャン・アミリ刑事 右:デルーカ刑事
左:ロシャン・アミリ刑事 右:デルーカ刑事

ロシャン・アミリ刑事の上司として登場する殺人課の刑事デルーカが密かにいい演技が見えるのです。自分勝手なアミリ刑事との対立シーンで、デルーカ刑事がアミリを叱責する場面。通常上司として鉄の顔の役割に徹してしまいがち。ところが役割に徹したのではなく「人」として立っていたのです。叱責しながらも、ちゃんと心が揺れている演技。とても内情ある演技を見せてくれました。こういうのがドラマのクオリティをあげていくのですね。

まとめ

ソフィーと息子たち
ソフィーと息子たち

余計なことを気にすることなく、ぎゅっと世界に入っていけるドラマは私にとって素晴らしいドラマです。伏線の面白さ、俳優同士のやり取りの面白さ、演出の面白さ、合わさっていくと最後に拍手をしたくなります。
このドラマは、鑑賞後にテレビの前で拍手をした作品です。素晴らしい映画も同じ反応になります。もちろん、これは主観であって個人的な好みを大いに含んだものですが・・・。同じように楽しみながら観れる人がいて、共感しあえるとまた嬉しいこと。今回は、妻と一緒に観たドラマになりましたが、2人でハマっていく楽しさはまた格別な時間となりました。文化・芸術の凄いところですね。きっと鑑賞すると誰かと話したくなる作品に違いありません。
楽しいというのはFunではなくInterestingということ。現在の心配が反映されています。SNSによる簡単な二項対立のされ方、誹謗中傷、相手に対して「同じ痛みを感じる人間」という実感がわかないネット内の妙な感覚。今の時代は、殺人をも面白がって拡散されるようになるのか・・・。これがまた否定できないのが怖いですよね。殺人をも面白がって拡散されていく可能性が多いにあるっていうことが怖いのです。ない、と言い切れないところが「今の時代の怖さ」なのかも知れません。実際にSNSが原因で命を落とした方もいるのも事実。
あなたがこのリアリティをどう感じるか、聞いてみたいところです。

About aritoo

アーティスト(俳優、脚本家、演出家、絵描き)として、感じたままを様々な媒体を通して放出。また芸能プロで演技講師に力を入れ、現在メソードアクティングを紐解きながら世界で通用する俳優を育成する。