映画「見上げた空とマスク」鑑賞(藤井秀剛監督)


この映画は、このコロナ禍、映画で社会貢献したいという熱から、緊急事態宣言解除後にクランクインして、ソーシャルディスタンスを保ちつつマスク着用など感染対策を尽くして撮影されたそうです。そして、この映画は「狂覗」の藤井秀剛監督作品です。それだけで何が起こるか分からないそんな作品を期待してしまいますね。

この時期に製作された映画として、その設定も含め興味深く、しかし日常的な流れの中の一コマとして楽しめる作品でした。そして、最後の台詞の一言が、ズシンと何かにタッチするでのではないでしょうか。
個人的にも、観て頂きたい作品のひとつ。そして何より、この映画がチャリティー映画であることに感銘を受けます。

This movie was filmed by taking measures against infection, such as wearing a mask while maintaining a social distance, after cranking in after the declaration of an emergency, because of the heat of wanting to contribute to society in the movie Covid-19.As a movie produced during this period, it was interesting, including its setting, but it was a movie that can be enjoyed as a frame in the everyday flow.
And most of all, I am impressed that this movie is a charity movie.

藤井秀剛監督からのメッセージ

コロナ禍の日本を描いた本作は、あらゆる感染対策を施しながら緊急事態宣言終了と同時に撮影された、初のコロナ映画。日本の国民を応援したい。世界中の人々を応援したい。そんな想いで制作したチャリティー映画です。

見上げた空とマスク 予告編

あらすじ

2022年夏。長引くコロナとの戦争の日々が、人々の生活を逼迫させていた。東京23区では各区独自の感染対策を展開した結果、社会格差を生んでいた。そんな中、公園に張られたブルーシートの家。恵美子は妹と一人息子の三人で暮らしていた。苦しい生活の日々。すると今の生活に嫌気をさした息子が、東京を飛び出し、感染者の少ない地方で新たな生活を始めようとする。家族がバラバラになる事を恐れた恵美子は、昔の特技を生かし、生活を立て直す事を考え始めた。その特技とは、スーパーの万引きだった…。(2020年/日本)
参照:公式HP

監督:藤井秀剛(『狂覗』『超擬態人間』)
プロデューサー:藤井秀剛、梅澤由香里
脚本:藤井秀剛
出演:種村江津子、望月智弥、坂井貴子、越智貴広、荒川真衣、田中大貴

視聴方法はTSUTAYA TVかUPLINK Cloud

視聴方法はTSUTAYA TVUPLINK Cloudでご覧になれます。ちなみに私はTSUTAYA TVで拝見しました。会員登録して、配信動画を有料で観る流れです。合わせて1ヶ月無料なので、その間に無料で観れる映画をしっかりと見ちゃえばさらにお得ではないでしょうか。

見上げた空とマスク TSUTAYA画面
見上げた空とマスク TSUTAYA画面

映画製作への熱意

撮影開始の6月中旬といえば外出することさえ、遠慮していた時期。それぞれ、撮影にはきっと躊躇があったり、不安があったり、したのではないでしょうか。(株)POP、CFAは、映画という集団芸術の中で、文字通り集団で俳優陣が出演とスタッフも兼ねて製作するアーティスト集団。小道具にしても、しっかりとしたこだわりを感じさせてくれます。自粛期間に藤井秀剛監督が脚本を書き、そして緊急事態宣言解除後に実現させる動きの早さ、行動力は、やはり日常から監督と俳優陣が密であり、チームワークが出来ているからこそ。
そこは、密なんです。

POP Co., Ltd. and CFA Co., Ltd. are a group of artists who are literally a group of actors and perform as staff in the collective art of movies.Director Hidei Fujii wrote the screenplay during the self-restraint period, and the speed of movement and action that will be realized after the emergency declaration is released are due to the fact that the director and the actors are close from everyday and teamwork is done.That’s great!

PRODUCTION NOTE 観て欲しい

公式HPがあります。こちらから撮影風景もちらほらと覗くことができます。その中で、撮影のセットが自粛警察によって取り壊されるような事態があった様子。なんだか戦時中かと思わせる・・・自粛警察というと密告・リンチなど過去の日本の怖さを彷彿とさせる言葉の響き。「自分はルール守ってるんだから、お前ら守ってない奴は許せない」という正義。御上(おかみ)のいうことには従う正義。その撮影風景こそがまたこの物語のちょとしたリアルさを思わせてくれる材料にもなっています。
しかし、よくぞロケ地を見つけてくれました。
PRODUCTION NOTE

It seems that there was a situation where the shooting set was demolished by the self-restraint police.The justice , “I follow the rules, so I can’t forgive anyone who doesn’t.” is so dangerous.Some scene is also a material that reminds me of the realism of this story.

走る人 見上げた空とマスクより ©Arito Art
走る人 見上げた空とマスクより ©Arito Art

好きな1シーン 

私は仕事上、㈱POPの俳優たちと、ご縁があるため、演技どうこうについて勝手な思いがあるためここでは記述を控えておきます。いつか個別に伝えたいところ。熱い瞬間を楽しみました。
また、45分という短い中編映画の中での人物の物語がしっかりと詰まっていて、面白いです。

その中で、個人的に好きなシーンは、公園で(といっても家の前で)ペディキュアを塗るシーン。ここは柔らかいアクティング(演技)があり、全体のシーンの中でいうと少し異質感。それがまたいいのです。

Personally my favorite scene is painting a pedicure in the park.There is a soft acting here, and it has a slightly different feel in the whole scene, but it is wonderful.

マスクを使用した撮影、その困難

マスクを着けて話すため、生の音が録音として使用できなかったであろう部分があるため、演技と台詞の呼吸や温度感が一致していない箇所が少々あります。それは、予算など踏まえたうえでご愛敬。マスクありきでの音声録音はロケはさすが難しいですね。
しかし、それも映像と合わさってひとつの味となっているのではないでしょうか。2022年を描いた未来の話なのに、どこか過去のようにも感じる不思議なマジック。

There are some scenes where the breathing and temperature feelings of the acting and the dialogue do not match.It seems that the voice couldn’t be used as a recording, because he speaks with a mask on.However, I think that is also one of the spices when combined with the images.

マスクゆえの苦しさ 
見上げた空とマスク ©Arito Art
マスクゆえの苦しさ 
見上げた空とマスク ©Arito Art

待たれる公開 「超擬態人間~Mimicry Freaks~」

世界三大ファンタスティック映画祭の1つ、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭でアジア部門グランプリ受賞作品。㈱POP製作で世界に発信する映画、遂に10月30日公開となります。こちらのことはまた改めてお伝えしたいと思いますが、春から公開の延期があり、遂に公開実現となったこと、おめでとうございます。

This film“Mimicry Freaks” won the Asian Grand Prix at the Brussels International Fantastic Film Festival, one of the three greatest Fantastic Film Festivals in the world.

★超擬態人間~Mimicry Freaks~公式HP
★超擬態人間~Mimicry Freaks~Twitter

超擬態人間~Mimicry Freaks~ 予告編

まとめ

マスクが見上げる世界 ©Arito Art
マスクが見上げる世界 ©Arito Art

コロナウィルスが蔓延したマスク必須の下層社会とマスク不要の富裕層社会。この分断は近未来起こるのか。現実的に広がっている格差社会を象徴している。この秋以降倒産する会社が相次ぐことが想定されている中、違った風景になっていくかも知れず、先が誰にも読めないのが現実。どうか、この映画のような世界にならないで欲しい、と願うばかり。
そして、このコロナ禍以降、劇場を接点とする映画や舞台は今後どのような制限を持ち続けるのでしょうか。もう立ち上がれなくなっている団体や製作会社もあるでしょう。世界を覗いていくこと、そして表現として公にしていくこと、とても大切なアートのひとつ、映画。そのベースラインがしっかりと感じれる作品です。ぜひ、ご覧下さい。
そして、最後の台詞にタッチしてみて下さい。
ねぇ、そうだろう?

Mask-required lower society where Covid-19 is widespread and wealthy society without mask.Symbolizes a disparate society that is widening in reality.While it is expected that a number of companies will go bankrupt after this fall, the future may be different from this movie, and the reality is that no one can read the future.I just hope that the world doesn’t become like this movie
What kind of restrictions will the theater-oriented movies and theaters continue to have after this Covid-19 disaster?Looking into the world and making it public as an expression, one of the most important arts is a movie.This movie is a work whose baseline is firmly felt.

About ひころーる

イラストレーター ひころーる 2011年に「めぐりのおと」の絵本を描いてから 個展を5回開催し、どれも好評を得て 調子に乗って、受注販売をしたり イラストレーターのお仕事をいただいたり 非常に恵まれてきた環境です。 美大も美術系専門学校もでていない私が イラストや絵を描き続けられる環境にあることに 感謝しながら、コロコロと状況を お伝えしていきたいと思います。 ※活動が多岐に渡って経験を備えてきました。 それぞれ専門のブログやウェブサイトがありますので、 こちらはイラストレーターに寄せたものにしていきます。