2017年のカルトヒット映画「狂覗」の藤井秀剛監督とその俳優陣が挑む異色の児童虐待ミステリー・スラッシャー映画『超擬態人間 〜Mimicry Freaks〜』がいよいよ10/30より劇場公開。
何を隠そう、こちらの映画は、世界三大ファンタスティック映画祭のブリュッセル国際ファンタスティック映画祭、アジア部門グランプリ受賞作品!なのです。
凱旋日本劇場公開が今年4月の予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で延期となり、ようやく10/30より劇場公開となりました。

目次
あらすじ
幼児虐待をテーマに描くスラッシャー・ホラー。赤子を抱える男の幽霊という日本唯一の幽霊画 に着想をえて、オリジナルストーリーを構築。ありふれた朝。親子で目を覚ました風摩と蓮は直ぐに異変に気づいた。目の前にはいつもと違う光景が広がってい たのだ。それは深い森だった。時同じくして、一台の車が山中に迷い混んでいた。結婚式を控えたカップルとその新婦の父親が乗る車だ。馴れない 山道で方向を見失った一行。そんな彼らは更なる試練と向き合う事になる。車が故障したのだ。ふたつの話が一つになるとき、それは世界崩壊の始まりを意味していた……。
※映画の時間参照
出演:杉山樹志、望月智弥、田中大貴、河野仁美、桂弘、坂井貴子、越智貴広、宮下純、安井大貴
プロデューサー:梅澤由香里
監督/プロデューサー/脚本/撮影/編集:藤井秀剛
※POP製作映画は、ここに記述できていない俳優と俳優兼スタッフとスタッフ達が多くいること。それが映画を作っています。それは伝えておきたい。

画家・伊藤晴雨の幽霊画「怪談乳房榎図」にインスパイア
この絵はおどろおどろしさ、お岩さんのような感覚があって、正直個人的には眺めていたくない絵なんです。ホラーを撮り続ける監督の目線や、そこから派生させていく人間の闇へのスポットを伸ばしていく感覚や嗅覚にドキッとさせられます。下記リンクからぜひ。
0号試写会の感想
初めて観た0号試写会は、劇場公開された今回の編集版とは同じ映画でも全く別物。試写会をして作品はどんどんシェイプアップしたり、再撮したり、と映画は変化していくのは前提ですが、正直どう受け入れていいものか分からない気持ち悪さが残った映画でした。そして、正直言うと長く感じたモノです。しかし、それから・・・
2020/3/12 プレス試写会へ
説明し過ぎない、突っ走る。印象や残像を残して次へ向かう。その流れが、観ながら考えることを辞めさてくれました。目の間のシーンが印象を残して次へ次へと集中して一気見した、そんな気分。観終わった後に、ああ、あれ?ああ、え?とパズルを合わせていくような感覚で引きずられながら帰宅していく(笑)
ゆっくり過ぎる繋ぎ方より、この方が個人的にも好きなんです。
個人的な感想
小学生の低学年の頃、帰宅して兄弟も親も不在の時に、独り白黒の「ゲゲゲの鬼太郎」を観た時のような怖さ、肌寒さを感じる映像感。不思議な感覚ですが、衣装や日本の山奥の家屋がまさに純和風の世界。その中において展開する映像シーンは西欧的な画面。おばけ映画ではない。でも、そこに感じられるのは、日本アニメで観てきた「妖怪人間ベム」のような、映画「八つ墓村」のような空気。体験型な映画。
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目覚めたら
森の中
しかも、白いベッドの上だった
そのシーンは実は怖いというより、美しい。
カメラが不穏な動きや妙な角度から人物の頭の中を映すけれど、なんだか幻想的。フラッシュバックで引き立つ白。グロテスク且つ理不尽。自分の都合として行動した人たちが集まった必然性。グロテスクな絵的表現はチープさを残しながら、ふっと笑いそうにもなる。しかしシーンが続くと「ゾッ」としてくる。それって人間臭さからくる人物の衝動だと感じた瞬間からおぞましい。そして、その白は暴力的なシーンを冷たく映す。自分を守るための擬態は、結局のところ暴力というアクションに向かうのか。
幼児虐待というテーマ
自粛が続くコロナ禍、家庭内暴力・幼児虐待・モラルハラスメントが世界中でニュースにもならずに起きている。日本でもニュースで飛び込んでくるのはわずか。もっと潜在的にたくさんあると思っています。言葉による暴力もしかり。そこにはその力で動けなくなっている人がたくさんいるかも知れません。虐待する側は自分が虐待していると自覚しておらず、自分を守って擬態をしているでしょう。それが生きるための正義だから。
でも、ある人に、ある自覚を、この映画が照らし出すかも知れません。
映画の力、信じます。

吉祥寺アップリンクHPより参照
藤井秀剛監督のインタビュー記事参照
読むとまた映画を知る。すると映画が面白くなる。映画って予備知識なしで観ることの面白さもあります。しかし、アーティストを知る、フィルムメーカーを知ることで、さらに映画って複合的に熱を持つんです。映画館に行く前に、あるいは観た後に、ぜひ。映画を観るが先か、記事を読むが先か(*_*)
私もブライアン・デ・パルマ映画ファンですが、藤井監督の映像の編集を観ると、ワクワクっと毎度してしまうマジックが盛り込まれています。

クリックで記事へ
fimovie.comインタビューはこちら
主演の杉山樹志さん
彼とは1~2度顔を合わせただけ、しっかりと挨拶をしたのは同じく藤井秀剛監督の映画「狂覗」を渋谷アップリンクで観た後だったと思います。出演者が「ありがとうございました」と出てくるお客さんに挨拶を交わしてるところ。彼もまた「ありがとうございました」としっかりと伝えてきました。その後、違う出演者と私は話をして、寂しそうに、居づらそうに、ちょっと遠くへ離れていった彼の斜め横の姿を思い出すのです。
それっきりでした、残念ながら、たくさんお話する機会もなく彼は旅立ちました。そして、この映画が最後の出演映画にして主演映画となったということ。
もうひと踏ん張りして欲しかった。誰もが思うでしょう。演技についてPOPの俳優たちと沢山話す機会に恵まれてきていますが、彼ともそんな話がしてみたかったです。
心よりご冥福をお祈りします。

映画の時間より参照画像
画面右:主演の杉山樹志さん
㈱POP製作というプロダクション
Youtubeチャネルも初めています。
この映画で活躍する俳優たちが、あの手この手と挑戦しています。ツッコミしてみたり、ちょっと笑ってみたり、馬鹿だなぁって感じたり、美味そうだなぁって感じたり・・・。
俳優を知ることで映画が面白くなる。確実です。俳優が好きだからその映画を見に行くってあるはず。それはスターに限らず、なんです。それってスター映画以外だとちょっと忘れがちですが、誰だってそうなんです。㈱POPが始めたこの企画にもぜひ乗っかってみてはどうでしょうか?
まとめ
満を持して、ようやくの劇場公開。世界で戦える映画を作る。それをモットーにこの藤井組は製作してきています。実際に、世界で認められたアワードを受賞。しかし、日本ではまだ孤島。大阪の芸人は大阪で売れても東京でまた0から売れなければならない、と言われて久しいが、正直それこそ不条理なのだということ。ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭アジア部門グランプリ受賞作品という快挙。そして、フラッシュを浴びた作品に対して、どうかもっと開けた日本映画界であって欲しいところです。
この先、もしかしたらNetflixやAmazon Primeなどのネット配信型が世界中でメインになり、各国のテレビや映画館で流れるものはローカルになるかも知れない。日本全国区というのがローカルになるかも知れない。そんな中、何を残していくのか。
俳優がスタッフも兼ねるという、俳優たちにもかなり過酷な現場をスタッフとして頑張っている状況ではありますが、その爪痕はしっかりと「映画」という形で残っていく。だからこそ、息のある映画になるのかも知れません。全国でどんどん上映館が増えて、多くの方に、この「映画」が届きますように、陰ながら応援をしています。
皆さん、劇場へ行きましょう!!
One thought on “脱Jホラー映画『超擬態人間 〜Mimicry Freaks〜』遂に劇場公開!”
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