もともと3/15~9/27で横浜で開催予定だったBANKCYの展示が、新型コロナウィルスの影響で延期になりました。緊急事態宣言解除後、5/30から営業を再開。そして、遂に行ってきました。事前のネット予約制となっていますが、混み合うことを回避できるのであれば、とてもいいことですね。
※購入方法は公式HPから。

ひとことで言うと、最高の現場(展示)でした。
バンクシーは、政治に悪態をついて終わるのではなく、知的、ウィットに富んだ作品群で楽しませ、茶目っ気がある行動力と、シンプルで観る者を斬る作風、そして、謎めいたアーティストなんです。彼を知って10年程度ですが、彼の行動力と画力とそれを支える人たち、さらにはある種のジャーナリズムを持った作品群の力にまいります。展示のことを現場と言い換えたのは、壁に貼られている作品群を目撃していくような構成だからです。
この展示の凄いところ、それは、ほぼ撮影自由。
100万人動員の展覧会が日本に上陸!撮影OKなため、作品を堪能しながらもたくさん撮影しましたので、ちょっとネタバレしますが、簡単に紹介してみます。
目次
バンクシー展 会場のアソビルはどこ?
会場はとても面白い建物でした。アートに関わる雰囲気がみなぎっています。会場は2Fですが、ぜひ1F、3Fも覗いてみて下さい。他の階は現在休館しているようです。
※アソビルのグーグルマップを添付しておきます。
バンクシーとは誰?
イギリスを拠点に活動する匿名の芸術家。世界中のストリート、壁、橋などを舞台に神出鬼没に活動している。アート・ワールドにおいてバンクシーは、社会問題に根ざした批評的な作品を手がけるアーティストとして評価されている他、テーマパーク、宿泊施設、映画の制作など、その活動は多岐にわたる。バンクシーの代表的な活動スタイルであるステンシル(型版)を使用した独特なグラフィティと、それに添えられるエピグラムは風刺的でダークユーモアに溢れている。その作風は、芸術家と音楽家のコラボレーションが活発なイギリス西部の港湾都市ブリストルのアンダーグラウンド・シーンで育まれた。
参照:バンクシー展HP
バンクシーはストリートで活動する、グラフィティ・アーティスト?
壁などにスプレーで描くグラフィティ・アーティストとして有名ですが、アーティストとして作品販売をスクリーンプリント枚数限定で販売しています。今回はバンクシーのコレクターがそれを貸出し、展示されています。これまで画像でしか見たことのなかった作品、また知らなかった作品も観れました。
展示内容 ネタバレ含む
各項目ごとにちょっとずつ感じたことと撮影OKだった作品と合わせて記事にしていきます。実際に見るのと画像とではどうしてもスケールが違いますので、画像で観ても本当のネタバレにはならないと思っています。あしからず。
アーティストスタジオ

これは映画でも垣間見れます。
消費の阿保らしさ Consumer society issues
この行き過ぎた市場主義、搾取する資本主義が、誰もに語り掛ける言葉。それは「消費しろ!」。知れば知るほど不要な物に埋まっていく社会。必要ないものを必要というコマーシャルに扇動され購入していく社会。そして使い捨て社会。そんなものをバンクシーは阿保らしいと訴えているのです。
This excessive marketism and exploiting capitalism speak to everyone. That is “Consume!” A society where the more you know it, the more you fill it with unnecessary things. A society that is instigated by commercials that require what they do not need and purchases. And That is a disposable society. Banksy is complaining about such things as our problem.


政治についての阿保らしさ Problems with politics
消費社会を加速させること、資本主義・拝金主義を加速させること、また新自由主義、リバタリアンが訴える全部自己責任主義は、格差を拡大させています。それには民衆を操作していく政治が強く関わっているのです。バンクシーはそんなんもの阿保じゃないのか?と訴えていると思うのです。
Accelerating consumerism, accelerating capitalism and worship, neoliberalism, and all-self-responsibility alleged by libertarians are widening the gap. It is strongly related to the politics of manipulating the people. Isn’t such a world strange? I think he is suing Banksy.

監視社会の怖さ The fear of surveillance society
イギリス人が監視カメラに映る回数は、ひとり1日当たり平均300回。日本も監視社会がオリンピックに向けて正義とされて全力で拡充されていったと思います。顔認識の怖さ、そこから個人情報に犯罪者でもないのに警察がタッチできるようにしていったのは、秘密保護法、そのためのツールとして作ったのがマイナンバー制度。監視社会の怖さは日本でも危惧されつつも、このように広がっているのです。マイナンバーの浸透具合は、今年の新型コロナでの給付金以前はわずか15.5%(令和2年3月1日※総務省データ)という事態だったようです。失敗と言われています、役人が流出させてる事故も起きていますし。不要なのですが、給付金で必須と思った方の申請が増えてしまったようですね。なぜ日本人は進んで監視されに行くのか、心配です。バンクシーの力は無関心層にもアートで訴える力があることかも知れません。
The average number of times a British person appears on a surveillance camera is 300 times per day. I think that the surveillance society was justified for the Olympic Games in Japan and was expanded with all possible efforts. The fear of face recognition, from which the police could touch personal information even if they were not criminals, was the Secret Protection Law, and the My Number system was created as a tool for that. The fear of the surveillance society is spreading like this, even though it is feared in Japan. It seems that the penetration rate of the My Number system was only 15.5% (March 1, 2013 *Ministry of Internal Affairs and Communications data) before the benefit of this year’s new Corona. It is said to be a failure, and there are also accidents that officials are leaking. It is not necessary, but it seems that the number of applications for those who think that it is essential for benefits has increased. I’m worried about why Japanese people are willing to be monitored. Banksy’s power may have the power to appeal to the indifferent as well.


抗議というアート Protest art
私がバンクシーを知ったのはガザの壁に描いた空の絵、梯子。火炎瓶・爆弾の代わりに花束を投げるグラフィティ・アートでした。10年前、有名な日本のジャーナリストの写真を見て、パレスチナとイスラエルの問題を知り、バンクシーに繋がりました。


戦争という服従 Obedience of war
「世界最大の犯罪は、規則を破る者によってではなく、規則に従うものによって犯される」この言葉は強烈です。グラフィティ・アートが持つ、言葉と絵の力を思い知ります。
“The world’s biggest crimes are committed by those who obey the rules, not by those who break the rules,” the phrase is intense. Learn the power of words and pictures that graffiti art has.

世界一悪い眺めのホテル The worst view hotel in the world
イスラエルとパレスチナ自治区の分離壁に面したホテル。その試みが粋すぎてヤバイ。

DIZMALAND ディズマランド
これは実際に観たかったランド。画像と映像のスクリーンでようやく観れました。


ブリストルミュージアム BANKCY個展
2009年にバンクシーが個展をしていたのです。ブリストルミュージアムで。ただの展示ではありません。

ネズミ RAT
ネズミ、不潔で嫌われ、どこでも生き残る力を持つ。いわゆる最下層のロールモデルとして具象化しているのです。東京にもいましたね。記念撮影する都知事。でもそれが描かれるということは、どういう意味でしょうか?と考えてほしいものです。ちなみに、私は、ブルーハーツの「リンダリンダ」を思い出す。
消された、剥がされた、アート
ストリートの作品、時に残ることなく消えていく。また誰かの所有物になる。先日もイギリスの地下鉄に描いたマスクしたネズミが話題になったのをご存知でしょうか?清掃員が普通に消してしまったようです(笑)

風船を持つ少女

BANKCY自らオークション落札直後に破壊しようとしたが・・・。ニュースにもなってあまりにも有名ですね。
バンクシーの映画
ドキュメンタリー映画が3本あります。そのうち2本をご紹介しておきます。NYの方がまだ観れていないですが、必ずや。
イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ
映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』(2010)
監督:バンクシー
出演:ティエリー・グエッタ a.k.a. ミスター・ブレインウォッシュ、スペース・インベーダー、シェパード・フェアリー、ゼウス、バンクシーほか
上映時間:90分 Amazon Primeで配信中
バンクシー・ダズ・ニューヨーク
2013年にバンクシーが仕掛けたとある出来事が発端となったドキュメンタリー映画
映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』(2014)
監督:クリス・モーカーベル
まとめ

この一連の出来事は知らなかった。ぜひ、現場でみて欲しい。
かなりボリューミーな展示ですが、作品は壁に描いてある、そんな感覚でどんどん観て進んでいけます。入口付近は平日にも関わらず混雑していましたが、進んでいくに連れて混雑は軽減されていきました。
グラフィティ・アートの力、そしてその力に圧倒される人もまた、受け取る力が必要なのではないでしょうか?「いいねぇ」で終われない、今必要なアートだと思います。どうかその目で見届けてみて下さい。横浜のアソビルという新しく面白い建物でした。自由な展示会場作りができる、いい雰囲気です。空間の作り方も合わせて楽しめます。
素晴らしい展示でした。
ありがとうございました。
It’s a very large exhibition, but you can see and proceed with the feeling that the work is drawn on the wall. The area near the entrance was crowded despite being a weekday, but as it progressed, the congestion was alleviated.
Isn’t the power of graffiti art, and those who are overwhelmed by it, also need the power to receive? I don’t want to end with “Like”, I think this is a necessary art now. Please look at it with your own eyes.
Thank you so much.